こんにちは、モチです
今回紹介する1冊は…

降田 天さんの「朝と夕の犯罪 神倉駅前交番 狩野雷太の推理」です
以前にご紹介した「偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理」の続編にあたります。
あらすじ
狂言誘拐と児童虐待の2つの事件を中心に物語が進んでいく
直近で発生した児童虐待の調査を行うごとに、
数年前に発生した狂言誘拐の事件との関連性が浮かび上がり、数年の時を経て、つながっていく。
女性刑事による取り調べにて、
全く心を開かず黙秘を続ける児童虐待の女性加害者だが、
同時に数年前の狂言誘拐に関する新たな情報や予期せぬ出来事を発端に、
心情に変化が現れ、徐々に隠された真実を明かしていく
また狩野の推理により、2つの事件の知られてはならない真実が暴かれる
この小説は、序盤に2つの事件の加害者視点で物語が繊細に描かれており、
後半が事件に対する調査や推理がメインとなって真実が明かされていくため、
ページをめくるごとに加害者への同情とハラハラが同時に味わえる作品だ
結末は全く予想のできない展開で鳥肌モノ。
加害者視点と警察視点の両方の視点で事件のラストを見届けることができる。
【感想】前回より狩野さんの登場は少ないけど…
第1章では狂言誘拐、第2章では児童虐待の事件について描かれている。
狩野雷太の出番は前作と比べて少ないものの、
事件の裏で行われた加害者たちとのやりとり、
事件までの流れを全て知っている私たちからすると、
真実が明かされるまでの駆け引きがものすごい読み応えあり。
各登場人物の細かい心情の変化がわかりやすく描写されており、
犯罪自体は決して許されるべきことではないが、
負の連鎖で行われた事件の裏でのそれぞれが抱えた事情を読み解いていくと、
加害者側へ同情をしたくなったりも…
後半になるにつれ、狩野の登場頻度も増し、あの「落としの狩野」の魅力を味わうこともできた
所々の台詞が、そのまま重要な伏線になっていたりと、「落としの狩野」はやっぱり最高だった
ことばのしおり
今回はミステリー×推理でスラスラ読めてしまったのですが、その中でも私が印象に残っている1文を紹介します!
黄色は「進め」
物語の登場人物が「黄色は『進め』」という価値観を持っていた
今までの行動指針でもこれに則っていたようだが、ろくな結末にはならなかったのは本人もわかっていたようだ
実際、黄色に点灯した信号を確認したら、道路では「止まる」のが正しい
急いで突っ切ってしまいたい気持ちもあるが、それによって思わぬ事故を起こしてしまうかもしれない
「このまま進むと危ないかもしれない」と思った時、私たちは心にブレーキをかけて次の青信号を待つことが豊かな人生を形成する土台として必要なのかもしれないと思いました。
まとめ
狩野雷太シリーズ続編小説、ものすごく読み応えがあった
狩野さんが登場するまでが焦ったかったけど、物語自体もあまりに色濃く描かれていて終始飽きずに読めた
また同シリーズが発表されたらぜひ読みたい!
「偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理」に関するレビューも別記事で紹介しておりますのでよければご覧ください!
ありがとうございました!
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