こんにちは、モチです。
また小説を1冊読み終えたので感想を綴っていきます。
今回紹介する1冊は

凪良ゆうさんの「流浪の月」です
以前読んだ「汝、星のごとく」と同じ著者で、
凪良さんといえば言葉選びや表現が美しいことでも知られ、
こちらも間違いなくおすすめの話題作となっています。
この小説は、少女・更紗とその更紗を”誘拐”した文という、私たちには馴染みがない関係によって成り立っている2人の物語である。
誘拐の裏では2人にしか交わせない事情や言葉・想いがあるのに対し、無関係な世間からは冷ややかな差別的な目を向けられ、言葉を浴びせられ2人の想いなど一切尊重されない。
物事の当事者と第三者との間にあるズレがリアルに綺麗に描かれ、
その現象は私の中でも起こりうる。
胸苦しさと共に、考え方が改まる1冊。
あらすじ
大学生の佐伯文は、ある雨の夕方、公園でびしょ濡れの少女・更紗に傘をさしかける。しかし、伯母の家に帰りたがらない彼女を2カ月間部屋に入れて過ごした彼は、誘拐の容疑で逮捕されてしまう。15年後、ふたりは“加害者”と“誘拐被害女児”として再会し……
あなたが想う優しさが相手のためになるとは限らない
冒頭でも触れたように、
この小説には2人にしかわからない世界と、”誘拐”と聞いて様々な先入観や想像を含んで関わってくる他人がいる。
実際に、誘拐という怖い経験をしたと考える人々は更紗を労るように”丁寧”に扱う。
一方で更紗は、その扱いを不快に感じる。そして皆が思うような”誘拐”ではないのだと。
自分が思う優しさが、相手にもそのまま通用するとは限らないことを教えてもらった。
実際に私たちが更紗たちの傍にいたらどんな風な言葉を投げかけていたのか。
きっと、「怖かったよね。」と言って傷つけてしまうのだろうか。
それでも思い続ける更紗と文の深い絆
それでも、
周りの友人や旦那、バイト仲間からも何を言われようと、文を密かに擁護し、忘れられない更紗と「更紗にはこれ以上災難なく幸せになってほしい」と願う文は、長い年月を経ってもお互いを思い続けていた。
これほどに深く強い絆もとても美しかった。
お互いを信じて、再会しても変わっても変わらないものを理解し、認め合っているところがとても尊かった。
まとめ
今回で凪良ゆうさんの作品を読んだのはこれが2作目。
やはり凪良さんの日本語は美しく、情景をしっかりと言葉だけで正確に思い浮かばせてくれる。
物語もリアルで日常に転ぶ現象もストーリーに細かく織り込まれており、共感性も高い。
また他の作品が読んでみたくなりました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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