『いなくなくならなくならないで』とはどんな小説?ネタバレなしで魅力と読後感を深掘り考察

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こんにちは

今回紹介するのは、

「いなくなくならなくならないで」という、

結局どっち??と言いたくなるような

ひと目で心を掴まれてしまう難解なタイトルです

検索してこの記事にたどり着いたあなたも、きっとこう思ったはずです

──「いったい、どんな物語なんだ?」

本記事では、向坂くじらさんの話題作

**『いなくなくならなくならないで』**について、

・作品概要

・あらすじ(ネタバレなし)

・タイトルの本当の意味

・読後に残る“感情の正体”

・どんな人に刺さる作品なのか

こちらに沿ってわかりやすく徹底考察します

概要

発売年月:2024年7月12日

ISBN:9784309032078

ページ数:168ページ

本の種類:単行本

発行所:河出書房新社

定価:1,760円(税込)

参考:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309032078/

著者は注目の新鋭作家・向坂くじらさん

本作はデビュー作でありながら、文芸界で高く評価され、芥川賞候補にも挙がった話題作です

ジャンルは一言で言えば、

「生と死」「存在と不在」「言葉と感情」の境界を描いた心理小説

大きな事件が起きたりなどの物語ではありません

また2024年の発売と比較的新しく、

168ページと誰でも読み切りやすい小説となっています

現在はまだ単行本のみが出版されており、文庫化の情報はありません

そしてこの小説については

アーティストの米津玄師さんも「すごく面白かった」と言及しており、

話題を呼びました

あらすじ【ネタバレ無】

主人公・時子のもとに、

**「死んだはずの親友である朝日からの電話」**がかかってくる

それは現実か、幻か、それとも錯覚か…

時子は混乱しながらも、

普段はその携帯の振動を無視するはずが応答し、

それをきっかけに再び「彼女」とつながっていく

大きな展開があるわけではありません

しかしこの物語では

手を止めず読み進めたくなるような感覚がある

「会いたい」

「でも、会うのが怖い」

「戻ってきてほしい」

「でも、戻ってきてほしくない」

「いなくなってほしい」

「でもいなくならないでほしい」

そんな矛盾しているけれど

とても馴染みのあるような感情が、息づくように描かれていきます

タイトルの意味:「いなくなくならなくならないで」とは?

一度、言葉をほどいてみました

・いなくならないで

・いなくなくならないで

・いなくなくならなくならないで

否定が重なるほど、

言葉の意味はどんどん反転し、曖昧になっていきます

この“曖昧さ”こそ、この物語に登場する人物の心情や

物語そのものを表しているのです

・いてほしい

・でも、いなくなってほしい

・いや、本当は…やっぱり、いなくならないでほしい

人の心は、簡単に「YES」「NO」で割り切れないことも多々あります

このタイトルは、

“割り切れない感情そのもの”を、言葉にしたタイトルなのです

こんな人に特におすすめしたい

この作品は、すべての人に刺さるタイプの小説ではありません

ですが、以下に当てはまる人にはより深く、共感ポイントも多く確実に刺さります

・大切な人を失った経験がある

・「言葉にできない感情」を抱えたことがある

・リアルな小説が好き

・余白のある作品が好き

・タイトルの意味を考えるのが好き

読み終えたあと、胸に残る“感情の正体”

この小説を読み終えたとき、

多くの人はこう感じます

“悲しいのに、なぜか温かい”

“優しいのに、なぜか苦しい”

“終わったのに、まだ終わっていない気がする”

この正体は、おそらく

「割り切れなかった気持ち」そのものなのだと思います

本当に大切な人のことほど、

「好き」「嫌い」「会いたい」「忘れたい」

そんな単純な言葉では片づけられません

『いなくなくならなくならないで』は、

その“どうしようもなさ”に、正面から向き合った物語です

まとめ

この小説は、

派手な大きな展開も少なく、

明快な答えがあるわけではありません

それでも不思議と

読者の心の中にはっきりとしたメッセージを残してくれる、

新感覚な1冊となっています

タイトルの歯切れの悪さが、

そのまま物語を描いているため

そのタイトルの違和感に惹かれた方はぜひご覧いただければと思います

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