買う価値ある?正直レビュー『アーモンド』ソン・ウォンピョン著

BOOK

「名前はよく見るけど、自分に合うかわからない」

「韓国文学って読んだことないけど大丈夫?」

「読んで後悔したくない…」

この記事は、そんな迷いを持っている人のために書きました

あらすじ・読み心地・向いている人・向いていない人まで、

実際に読んだ視点から正直にまとめています

基本情報・受賞歴

タイトル:アーモンド

著者:ソン・ウォンピョン(韓国)

翻訳:矢島 暁子

出版社:祥伝社

発売:2019年7月(文庫版2021年)

ページ数:267ページ

価格:文庫版 825円(税込)

本屋大賞の翻訳部門は、全国の書店員が「自分が1番売りたい翻訳小説」として投票して決まる賞を指します

毎日お客さんに本を手渡しているプロたちが選んだ第1位というのは、それだけで十分な信頼の証になります

著者のソン・ウォンピョンは小説家だけでなく映画監督・シナリオ作家としても活動する韓国の作家であり、

映像的で読みやすい文章が特徴で、

翻訳文でも「読んでいるというより、観ているような感覚」と言う読者が多い作品です

どんな物語?(あらすじ)

脳の扁桃体(アーモンド)が生まれつき小さく、怒りや恐怖などの感情をほとんど感じることができない16歳の少年・ユンジェ。感情がわからない彼を育てるため、母は喜・怒・哀・楽を丸暗記させ、なんとか”普通の子”として振る舞えるよう育ててきた。

しかし15歳の誕生日、目の前で祖母と母が通り魔に襲われる。祖母は亡くなり、母は植物状態に。ユンジェは一人になった。

そんな彼の前に現れたのが、激しい感情を持つもう一人の”怪物”・ゴニだった。感情がない少年と、感情がありすぎる少年——正反対の二人の出会いが、ユンジェの人生を静かに、しかし確実に変えていく。

一言で表すと、

「感情とは何か」「愛とは何か」を問いかける成長物語です

著者自身が「人間を救えるのは結局、愛なのではないか」

というテーマで書いたと語っているとおり、

派手な展開よりも二人の関係性の変化が丁寧に描かれています

読みやすさ・難易度

前提としてわたしも韓国文学を読んだのはこれが初めてでした

「韓国文学を読んだことがない」という方が気にするのは、まず読みやすさだと思います

結論から言うと、この本に関してはほとんど壁を感じませんでした

韓国が舞台の作品を日本人が書いたのではと思えるほどです

翻訳家の矢島暁子さんの翻訳が丁寧で、

映像が浮かぶような読み心地が保たれており、

文化的な背景の差異をほとんど感じずに読めることに驚く人が多い作品です

実際に読んだ感想

「感情がない主人公」なのになぜ感動をしたのだろう

主人公のユンジェは感情がないから”冷たい人間”なのではなく、

感情の意味を知らないまま生きています

そして彼の視点から物語を追いながら、

「当たり前のように持っている感情って、実はなんなのだろう」

と深く考えさせられるのです

感情があることを普段意識しない人間が、

感情のない主人公を通して初めてそれを問い直すこの構造が巧みで、

気づいたら物語の中に引き込まれていました

私自身、感情はもちろんあるけれど、

どこか内心冷静で達観した自分がいる感覚が常日頃あります

ユンジェを通して「感情を感じられること自体が、どれほどすごいことか」を逆説的に教えてもらえた気がしました

普段では考えない物事を俯瞰して考えるきっかけを与えてくれて、

泣く前提で読んでいなかった分、最後の場面でやられました

“感情が明確な”ゴニとの関係が物語の核心

「感情がない」ユンジェと「感情がありすぎる」ゴニの組み合わせの対比も見どころでした

読み進めるにつれ、二人が互いに欠けているものを補い合っていき、

絆が芽生えていくのがわかってきます

これが単純な友情ものでもなく、どちらが教えてどちらが学ぶという一方向の関係でもない

その支え合う関係性がとても感動しました

最後まで読んで涙が出た理由

終盤は肩に力が入り、

予想していなかったタイミングで涙が出ました

だからといって派手な展開があるわけではありません

むしろ静かな場面が多い作品です

でも、そこに至るまでにユンジェという人間の変化を積み重ねて読んできたから、

その一場面に重さがのしかかってきました

伏線というよりも、

人間の変化の蓄積とともに、最後に解放される感覚がこの小説の感動の正体だと思います

怒ったり泣いたり悲しんだり嬉しくなったり

ここまで豊かに細かく感じることができるのは人間の特権だし、

だからこそ”感じる”という特権を活かして過ごしたい。

時には誰かを救うためのものにもなりうるし、

ごく当たり前のようにある感情が

強い力を持っているんだなと思いました

向いている人・向いていない人

✔︎こんな人に向いている△向いていないかもしれない人
・感情・共感をテーマにした話が好き
・人間の成長を描く物語が読みたい
・読書が苦手で短めの本を探している
・韓国文学を初めて読んでみたい
・「愛とはに何か」について小説を通して考えたい・興味がある
・読後にじんわり余韻が残る本を探している
・どんでん返し・ミステリー展開を求めている人
・スピード感のあるアクションが好き
・明確なハッピーエンドが絶対条件
・冒険・ファンタジー系が好き

読者評価は高評価が多い一方で

「静かすぎる」「展開が地味」と感じる人もいる作品です

逆に言えば、

感情を丁寧に掘り下げる小説が好きな人にとっては深く刺さる一冊と言えます

自分がどちらのタイプか確認してから買うのが、後悔しない読み方です

結論:買う価値はあるか

「感情・愛・成長」というテーマに少しでも興味があるなら、

買う価値は十分あります

本屋大賞翻訳小説部門1位・世界21カ国翻訳という実績が示すとおり、

普遍的に刺さる物語として完成度が高い作品です

267ページという優しいボリュームで、

韓国文学が初めての人にも入りやすく、

読書が苦手な人でも読み切ることができます

ただし、スリリングな展開や明確なハッピーエンドを期待している人には合わない可能性があります

「静かだけど確かな感動」を求めている人に

自信を持って勧められる一冊です

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