雨穴『変な家』レビュー|相関図・家系図つきネタバレ考察と購入前に知りたいこと全部

BOOK

本屋で「変な家」「変な家2」「変な絵」「変な地図」と並ぶシリーズの背表紙を見て、「これ何?」と手に取った経験がある方は多いと思います

この記事は、まず導入として「変な家」を買おうか迷っている方が、読後に後悔しないための判断材料を提供することを目的に書いています

「変な絵」から先に読んだ筆者の目線で、シリーズの入口として『変な家』がどういう本なのかを、できるだけ正直な視点でまとめました

あらすじ・登場人物・怖さの質・ネタバレ解説・他作品との比較まで、全部詰め込んでおります

作品情報と基本情報

変な家

著者:雨穴(うけつ)

出版社:飛鳥新社

初版発売:2021年7月20日

文庫版:2024年2月1日

ページ数:248ページ(単行本)

ジャンル:不動産ミステリー・ホラー

累計発行:150万部突破(2024年4月時点)

原作媒体:YouTube(1,500万回超再生)

ISBN:978-4-86410-845-4

「変な地図」を見かけた方

「変な地図」は2025年発売のシリーズ最新作です。そして本作『変な家』はシリーズの第一作にあたります。

各作品は独立したミステリーとして読めますが、探偵役の「栗原さん」が共通して登場します。読む順番は問いませんが、本作から入るのが最もスタンダードです。

著者・雨穴(うけつ)とはどんな人?

雨穴は正体不明の覆面ホラー作家・ウェブライター・YouTuber

白いマスクと黒いフードという独特のビジュアルで活動しており、

素顔・年齢・本名は一切非公開としています

もともとウェブメディア「オモコロ」

の記事書きから活動をスタートし、

2020年10月にYouTubeへ投稿した動画「【不動産ミステリー】変な家」

が大反響を呼びました

その動画の続編として書き下ろされたのが本書となっています

項目内容
活動名雨穴(うけつ)
活動開始オモコロにてウェブライターとして活動後、YouTubeへ2020年10月30日「【不動産ミステリー】変な家」
初動画2020年10月30日「【不動産ミステリー】変な家」
再生数2500万回超(2026年末時点)/完全版は2025年10月公開
著作『変な家』『変な家2』『変な絵』『変な地図』
特徴ノンフィクション風のリアルな語り口、独自オカルト設定の構築

「実話なの?」という疑問について

作品はノンフィクション風の文体で書かれており「実話のような怖さ」が特徴ですが、フィクションです

家の間取り・登場人物・事件はすべて雨穴の創作となっています

あらすじ(ネタバレなし)

オカルト専門のフリーライター・雨穴は、知人の柳岡から「購入を検討している中古一軒家の間取り図に、不可解な空間がある」と相談を受ける。

雨穴はその間取り図を、建築士の知人・栗原に見せる。栗原は間取りをじっくり眺めながら、「この家には奇妙な違和感が複数ある」と指摘し始める。窓のない子ども部屋、どこからも入れない謎のスペース、不自然にねじれた動線など……。

栗原が提示したひとつの「仮説」は、あまりにも不穏であった。

後日、雨穴がその調査内容を記事として公開すると、「この家に心当たりがある」という女性・宮江柚希から連絡が入る。彼女が持ち込んだ、もう一枚の間取り図。そこにも同じ「変な点」があった。二つの家の間取りはなぜ似ているのか。調査は、やがてある一家の過去へとたどり着く。

物語の構造

物語の構造を整理
  • 発端:1枚目の間取り図
  • 栗原の仮説
  • 柚希の登場:2枚目の間取り図
  • 過去の調査
  • 栗原の最終推理と不穏な結末

主な登場人物

私も少し苦労しましたが、

登場人物は多く、

特に後半は家系・人物関係が複雑になります

読む前に主要人物だけ把握しておくと、

物語の中盤以降がスムーズに入ってきます

名前役割説明
雨穴(筆者)主人公・語り手オカルト専門フリーライター。事件の調査と記録を担う。読者と同じ目線で謎に接近していく。
栗原探偵役大手建築事務所勤務の設計士。ホラー・ミステリー愛好家。間取りから驚異的な推理を展開する。作中での存在感が最も大きく、シリーズを通じて登場するキャラクター。
柳岡依頼人最初に変な間取りを持ち込む雨穴の知人。購入を検討していた都内の中古一軒家について相談する。
宮江柚希(片淵柚希)情報提供者雨穴の記事公開後に接触してきた女性。夫の失踪と「もう一軒の変な家」の情報を持つ。本名は「片淵柚希」。綾乃(姉)も物語に深く関係している。
片淵慶太柚希の夫柚希の夫。東京の変な家の住人だった可能性があり、行方が知れない。
片淵綾乃柚希の失踪中の存在として語られる。物語の背景に深く関係する人物。

登場人物が多いと感じたら

読んでいると確かに人物関係が複雑になります

「栗原が推理する探偵役、雨穴が語り手」という基本的な軸だけ最初に押さえておけば、中盤まではスムーズです

後半の家系・因習パートで人物が増えますが、

そこは流れで読んでいくうちに整理されていきます

間取りの「変な点」どこがどう変なのか

本書最大の特徴は、

実際の間取り図を見ながら謎を探る体験型の読書です

栗原が指摘する「変な点」を事前に知ることは

ネタバレになるためここでの詳細は伏せますが、

どういう種類の「変さ」なのかは購入前に知っておくと良いかもしれません

窓のない子ども部屋

採光・換気のために法律上必要なはずの窓がない。なぜ意図的に窓を省いたのか。

どこからも入れない空間

間取り図上に存在するのに、隣接するどの部屋からも扉でつながっていないスペース。

不自然な動線

客間に行くためにわざわざ遠回りさせる間取り。普通の設計では生まれないルート。

二重の扉・隠し通路的構造

通常の居住目的では説明のつかない扉や通路の配置。

これらの「変な点」ひとつひとつに、

栗原が建築士の視点から意味を読み取っていきます

読者は間取り図を見ながら

「確かに変だ」「これはどういう意味だろう」

と一緒に考えられる設計になっています

推理が得意でなくても、

違和感には気づけるので安心してください

読んだ感想・正直レビュー

「変な絵」を先に読んだ筆者の目線から、

正直な感想をお伝えします

「怖い」より「人間的な気味の悪さ」が正確

間取り図を見ながら不可解な点を一緒に探っていく体験が楽しかったです

物語が進むにつれて、とある家族の過去が少しずつ明かされていく構成で、

最終的に感じたのは「ゾッとする怖さ」より「人間的な恐ろしさ」でした

信仰・因習・家族という、現実にもある要素と結びついた怖さがじわじわときます

「変な絵」との順番について

筆者は「変な絵」からこのシリーズを読み始めましたが、問題なく楽しめました

各作品は独立したミステリーなので、どちらから読んでも理解ができます

ただし「変な絵」のほうがゾッとする怖さは強烈な感じがします

つまり「変な家」は怖さの質がやや異なります

人間・家族・因習に根ざした不気味さ、という印象です

どちらが「正しい順番」かより、結果として好みの怖さで選ぶのも十分ありです

ミステリー初心者でも楽しむことができる

会話主体のシンプルな文体で、専門知識不要です

推理パートも「栗原が説明してくれる」形式なので、

ミステリーが苦手な方でも安心して読み進めことができます

間取り図を見ながら「あ、ここが変だな」と読者自身が気づける場面もあって、

謎解きの参加感もあります

読了時間は2〜3時間程度が目安

「変な絵」より怖くないが、余韻が不穏

「変な絵」ほど即効性のある怖さは個人的にありませんでした

人間的な怖さ、というほうが正確かもしれません

ただし栗原の最終推理のシーンはゾクゾクしました

完全解決で終わらない「不穏な余韻」が読後もしばらく頭に残ります

登場人物が多く、後半は関係整理が必要

特に物語後半の家系・因習パートで人物が増えます

読みながら「この人は誰だっけ」となることがある点は正直に伝えておきます

相関図や家系図を自分でメモしながら読むと格段に整理しやすくなります

図を扱っているため、文庫版より単行本のほうが読みやすいという声も

「小説」と思って読むとギャップが出るかもしれない

文体は会話と事実描写が中心で、文学的な情緒や心理描写は少ないです

YouTube動画が原作であるという背景もあり、

「読みやすいが深みは薄い」という読者がいるのも事実です

一方で、その読みやすさこそが「2〜3時間で読み切れる」快感につながっています

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ネタバレ解説・考察(結末まで)

以下は物語の核心・結末を含む完全ネタバレです。購入前に内容を把握したい方向けです。未読で驚きを楽しみたい方はスキップしてください。

2つの「変な家」の共通点とは

東京の1軒目(柳岡が検討していた家)と埼玉の2軒目(柚希が持ち込んだ家)

どちらにも「窓のない子ども部屋」「隣室とつながる謎の空間」「不自然な動線」

という同じ不可解な特徴がありました

栗原の推理では、

これらの「変な構造」は偶然ではなく、

意図的に「子どもを閉じ込めるために設計された部屋」だったと考えました

外から鍵をかけられる子ども部屋、どこにも繋がらない「見張り用」の空間、

逃げられない動線だったと考えたのです

家族の過去「儀式と因習」

調査を進めると、

2つの家に住んでいた家族が共通する「因習」を持つ一族であることが明らかになってきます

その因習とは、

「左手のない者が生まれた場合、その子どもに特別な儀式を行う」というものです

家の構造は、

その儀式のために設計されており、

子どもを外部から隔離し、

一族の「儀式」の中で育てるためのものだったのです

一見すると奇妙なだけの間取りが、

背後に持つ意味の重さが徐々に明らかになっていきます

左手のない遺体と仏壇の意味

物語の中盤、

東京の家の近くで「左手のない遺体」が発見されるという事件が判明します

これが一族の儀式と結びついており、

仏壇の配置もただの風習ではなく、

儀式の構造に組み込まれたものであることがわかってきます

こうした「日常にあるものが実は予期せぬ部分で接点を持っている」という構造が、

雨穴作品の最も巧みな部分なのです

柚希の正体と姉・綾乃の失踪

「宮江柚希」として現れた女性の本名は「片淵柚希」でした

そして彼女の姉・綾乃は、

この一族に絡む出来事の中で行方不明となっています

柚希はその大切な姉を探し出す目的もあり雨穴に接触してきたという経緯があります

栗原の最終推理「ゾクゾクする余韻」

物語の終盤、

栗原が下す最後の推理がまた本書最大のもう1つの読みどころに感じました

それまでの謎がつながり、

「あの間取りにはそういう意味があったのか」という解答が提示され、

解決に進んだかと思いました

しかし物語は「すべてが解決した大団円」では終わらなかったのです

栗原の推理は

「おそらくこうだったのではないか」という推測の域を出ず、

真実が否かは証明ができないままです

けれどもどこかその仮説に信憑性があり、

読後に不穏な余韻が残ります

登場人物・相関図 〜片淵家 家系図〜

事件の核心にある「片淵家」の人物関係をまとめました

登場人物が多いので、読みながら参照してみてください

淵家の因習「左手供養」とは

生まれつき左手がない子ども(桃弥)は、「供養」として人を殺さなければならないという片淵家に伝わる因習があり、

この因習を維持するために家の中に「閉じ込め部屋」が設計されていました

また慶太は桃弥を対象とした因習を阻止すべく、

自然死した宮江恭一の遺体を「左手供養が完了した証拠」として利用しました

けれど、この偽装が発覚したことで、慶太は重治と清次を殺害することになります

シリーズ各作品との違い・比較

店頭で「変な地図」から興味を持った方に向けて、シリーズ各作品の違いを整理します

今回私は「変な家」を読む前に「変な絵」を読んでいたので、

こちらの2作品を比較します

比較項目変な家(本作)変な絵
謎の素材間取り図一枚の絵
怖さの種類人間的・因習的な不気味さ人間的な怖さ+即効性のあるゾッとする怖さ
難易度入門向けやや複雑
読後感不穏な余韻衝撃・後味の悪さ
ページ数248ページ336ページ
探偵役栗原(現在)栗原(学生時代)

シリーズの読む順番について

各作品は独立したミステリーとして完結しており、

どこから読んでも理解ができます

ただし「栗原さん」というキャラクターが共通しており、

シリーズを通じて成長・変化が描かれているため、

(変な家→変な家2→変な絵→変な地図)に読むのが個人的におすすめです

「変な絵」から読んだ場合:筆者はこの順番でしたが、まったく問題ありませんでした

ただし「変な絵」の怖さが強烈だったため、「変な家」は相対的に「怖さが控えめ」と感じる可能性があります

これは本作が劣るというより、あくまで比較の問題です

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映画・漫画版との違い

映画版(2024年3月15日公開)

間宮祥太朗(雨宮役)・佐藤二朗(栗原役)・川栄李奈(柚希役)主演。監督は石川淳一。東宝系で全国公開されています

映画版は原作の骨格は保ちつつ、

主人公をYouTuberに変更するなど現代的な設定にアレンジを加えています

また原作にないアクション・恐怖演出が追加されており、

ホラー映画としての完成度を高めています

原作に比べて生々しさ・即効性の怖さが強い仕上がりです

「原作の静かな謎解き体験」が好きな方は小説版が向いており、

映画版は「視覚的な怖さを楽しみたい」方向けと言えます

漫画版

一迅社よりコミカライズ(作画:綾野暁)

2023年1月から連載開始、2025年3月時点で既刊5巻

「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞2024」男性部門賞受賞し、

原作にない場面の追加があります

視覚的に間取り図を確認しながら読めるため、

「文字より絵のほうが入りやすい」

という方にはこちらも選択肢になります

こんな人におすすめ/向かない人

購入前の最終チェックとして、正直に整理します

✔︎こんな人におすすめ・向いている△向いていないかもしれない人
・血・グロ描写が苦手だが怖いもの読みたい
・謎解き・推理が好き
・2〜3時間でサクッと読みたい
・YouTubeの雨穴動画が好きだった
・ミステリー初心者・入門者
・因習・民俗ホラー系が気になる
・「変な絵」が気になっている(入口として最適)
・活字離れしているが読んでみたい
・文学的な深みや心理描写を求める人
・ミステリーに「完全解決」を求める人
・建築法上の突っ込みが気になる人
・ホラーが完全にNG(但し直接的描写は少ない)
・「変な絵」読了後に同レベルの怖さを期待する人

総評・評価

「間取り図」という誰も思いつかなかった恐怖の入口と、

YouTube発コンテンツならではの圧倒的な読みやすさが光る一作です

深みや文学性を求めると物足りなさを感じるかもしれないが、

「2〜3時間で怖い体験をしたい」

「ミステリーを試してみたい」

という読者には文句なくおすすめでき、

シリーズの入口として最適です

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