総合評価
4.2
★★★★☆
前半は単調でもある。
でも栗原の推理パートに入ってから、それまでの伏線が一気につながる快感は変な家シリーズで一番。「静かにゾクゾクする」感覚が本作の真骨頂。
作品情報|『変な家2〜11の間取り図〜』
『変な家2〜11の間取り図〜』の基本情報を紹介します

変な家2〜11の間取り図〜
著者:雨穴(うけつ)
出版社:飛鳥新社
発売:2023年12月15日
文庫版:2024年2月1日
ページ数:440ページ(単行本)
ジャンル:小説・ミステリー・謎解き
価格:1,650円(税込)
ISBN:9784864109826
2024年ベストセラー3冠
受賞
14万時超
文字数
★★☆ 中級
難易度
3〜5時間
読了時間目安
2024年のベストセラー3冠とは具体的には以下の賞における受賞です
・第17回オリコン年間”本”ランキング2024 オリコン年間BOOKランキング第1位
・日販2024年年間ベストセラー総合第1位
・トーハン2024年年間ベストセラー総合第1位
どんな構成の本か
変な家の「1軒の間取り」から、本作は「11軒の間取り」に規模が拡大しています
前半と後半でまったく異なる体験をする作品構成になっています
- 11の資料11の間取り・それぞれの物語
各間取りにまつわる不可解な体験・事件を取材。一見バラバラな11の話が続く。
- 栗原の推理すべてが1本の線でつながる
栗原が図解を使いながら11の資料を統合。時系列と真相が一気に明かされる。
01 行先のない廊下
02 闇をはぐくむ家
03 林の中の水車小屋
04 ネズミ捕りの家
05 そこにあった事故物件
06 再生の館
07 おじさんの家
08 部屋をつなぐ糸電話
09 殺人現場へ向かう足音
10 逃げられないアパート
11 一度だけ現れた部屋
読んで感じた5つのこと
栗原の推理で「静かにゾクゾクする」瞬間がある
11の間取りを栗原が解説していく後半パート。謎と伏線が回収され、物語の時系列が一気にわかる瞬間があります。派手な怖さではなく、「理解したうえで静かにゾクゾクする」感じ。これがシリーズで一番よかったです。
「あ、これさっきの話と繋がってる…」という気付きが止まらない
11の間取りが完全に独立した話だと思いながら読んでいると、ところどころで「あれ、さっきも聞いたような名前だ」という瞬間があります。意図的に散りばめられた繋がりに自分で気づく快感がページを捲る手を止めなかったのを覚えています。
図解とまとめで、ページ数の多さを感じさせない
ページ数は多いですが、栗原の推理パートでは時系列の図や各話のざっくりまとめが挿入されながら話が進みます。「あの話どんな内容だっけ」とならずに読み進められる親切設計になっており、思ったより理解しやすかったです。
変な家を読んでいなくても問題なく読める
物語は「変な家」とつながっていません。先に変な家2を読んでも1のネタバレにならないことは断言できます。どちらから入っても独立した作品として楽しめるため、未読でも購入しても問題はございません。
前半は単調。乗り越えられるかどうかが分かれ目
ひたすら11の物語を読み進める前半パートは単調で、飽きてもおかしくありません。実際に途中で止まる人もいると思います。ただし、その単調さを乗り越えて栗原の推理パートに入ってから、本作は本当に面白くなります。前半の「我慢」が後半の快感に直結している構成だと理解して読むことをおすすめします。
前作との違い|「変な家」と「変な家2」どう違う?
| 比較項目 | 変な家 | 変な家2 |
|---|---|---|
| 謎の数 | 1軒の間取り | 11軒の間取り |
| 物語のスケール | 1家族の過去 | カルト宗教×大企業 |
| 読了時間 | 2〜3時間 | 3〜5時間 |
| 難易度 | ★☆☆ 入門 | ★★☆ 中級 |
| 怖さの種類 | 人間的・因習 | 組織的・スケール感 |
| 謎解き満足度 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 読後感 | 不穏な余韻 | 悲しさ+スッキリ感 |
| 前作との繋がり | – | なし(独立作品) |
結論
「謎解きの規模と満足感」では本作が上です。
「読みやすさととっつきやすさ」では「変な家」が上です。
シリーズ初挑戦なら「変な家」から。
「変な家」が面白かったならもちろん迷わず本作へ。
購入前の疑問|向いている人・向かない人
| ✔︎こんな人におすすめ・向いている | △向いていないかもしれない人 |
|---|---|
| ✔︎ 前作「変な家」が面白かった ✔︎ 伏線回収の快感が好き ✔︎ 謎解きに参加したい ✔︎ カルト・陰謀系のコンテンツが好き ✔︎ 派手でない「静かな怖さ」が好み ✔︎ 読み応えある作品が欲しい | × 前半の単調さに耐えられない × 「変な家」をまだ読んでいない(まず前作から) × スッキリ完全解決を求める × 場人物が多い作品が苦手 |
本シリーズに興味はあるけれど、前作をまだ未読の方はそちらから読むことを推奨しています
以下、前作の「変な家」のレビュー記事になりますので併せてご覧いただけます
よくある質問
- Q変な家1を読んでいないと楽しめない?
- A
読んでいなくても問題なく楽しめます。物語は完全に独立しており、前作のネタバレにもなりません。ただし「栗原というキャラクターへの愛着」は前作を読んだ後のほうが強くなるため、時間があれば「前作→2」の順がベストです。
- Qページ数が多いが読み切れる?
- A
会話とインタビュー形式がメインなので、ページ数の割に読みやすいです。後半の栗原パートは図解が入るのでさらに読みやすいです。普段本を読まない人でも3〜5時間あれば読み切ることができるでしょう。
- Q変な家・変な絵と比べてどれが一番面白い?
- A
怖さなら変な絵、読みやすさなら変な家、謎解きの規模と伏線回収の満足感なら変な家2が一番。「前作より面白い」という感想が多いシリーズ内でも評価が高い作品です。
- Q前半が単調と聞いたが本当?
- A
本当です。11の物語を順番に読み進める前半は、展開が似たパターンの繰り返しに感じることがあります。ただしそれが後半の栗原パートへの「仕込み」になっている構造なので、前半をサボらずに読んでおくことが後半の満足感に直結しますよ。
- Q文庫版はいつ出る?待ったほうがいい?
- A
文庫化は2026年夏〜秋ごろが有力と予測しています。根拠は以下の通り。
変な家(単行本2021年7月)→ 文庫版(2024年2月)で約2年6ヶ月。変な家2の単行本発売が2023年12月なので、同じペースなら2026年夏前後が目安になります。
ただし変な家は映画公開(2024年3月)の直前に文庫化するという形でした。変な家2の映画化・続編企画が発表されれば、それに合わせて前倒しになる可能性もあります。
結論として、今すぐ読みたいなら単行本で問題ない。文庫版を待つ場合、早くても2026年夏以降になる見込みで、半年以上(※2026年3月時点)待つことになります。Kindle版なら今すぐ単行本価格で読める選択肢もあります。
文庫版はいつ出る?今買うべきか待つべきか
変な家の実績
単行本 → 文庫版:約2年6ヶ月
単行本:2021年7月20日
文庫版:2024年2月1日
映画公開直前(2024年3月)に合わせて文庫化
変な家2の予測
文庫化:2026年夏〜秋ごろ
単行本:2023年12月19日
文庫版:同ペースなら2026年6〜8月が目安
映画化発表があれば前倒しの可能性あり
今買うべきか、待つべきか
単行本と文庫版の価格差は約600〜700円程度。文庫版を待つなら最低でも半年以上かかる見込み。「今すぐ読みたい」なら単行本かKindle版で購入して損はない。文庫版には栗原の書き下ろしあとがきが追加される可能性があるため(変な家の文庫版にも追加収録があった)、そこにこだわるなら待つ価値はある。
文庫版が出次第この記事でお知らせします
前半を乗り越えた先の快感は本物
迷っているなら読んで損はない
2024年ベストセラー3冠。変な家シリーズで一番謎解き満足度が高いと感じた1冊。

変な家2 〜11の間取り図〜
著:雨穴 / 飛鳥新社 / Kindle版あり
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